李朝染付辰砂桃形水滴
$4,836.00
- Region/Era 朝鮮時代19世紀
- Size H7.4×W6.9×D6.6㎝
- Condition 注ぎ口先端に銀直し
- Accessory 桐箱
- No. 1ko109
李朝後期に大変人気を博した、桃の実をかたどった水滴です。桃は古くから長寿や不老を象徴する吉祥の果実として親しまれ、桃形の器物は、文房具にも取り入れられました。桃形水滴には、桃の実そのものをかたどったもののほか、本作のように枝と実を組み合わせたものなど、さまざまな趣向があります。

本作は、桃の実に枝を絡ませ、その枝そのものを注ぎ口と高台に仕立てるという凝ったつくり。ところどころに見られる枝の瘤まで写実的に表現されており、自然の姿を器物の造形へ取り込もうとする工夫が感じられます。桃の葉も立体的にかたどられ、実の側面に貼り付けられています。葉は染付のみで表され、陰刻で葉脈を彫り込んだ部分には顔料が溜まり、青の濃淡が生まれています。

さらに興味深いのが、注ぎ口とは反対側に設けられた水の注入口です。桃の実の溝に沿うように縦長に開けられており、器形の意匠を損なわないよう、穴を目立たせないための細やかな配慮がうかがわれます。このような開け方は珍しく、本作ならではの見どころの一つです。

桃の実の先端と花を思わせる文様、そして枝には辰砂が施されています。鈍い紅色に発色した辰砂は、白磁の清らかな肌と染付の青によく映え、ところどころには緑青色を呈する窯変も見られます。ひとつの器の中に白・青・紅、そして偶然の色彩までが重なり、豊かな表情を見せています。

さまざまな創意工夫が凝らされた文房具の最盛期、李朝後期ならではの遊び心と技術が詰め込まれた一作。眺めるほどに新しい細工に気づかされる、愛らしさと見応えを兼ね備えた水滴です。
注ぎ口の先端に銀直しがあります。そのほかは良好な状態です。
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