李朝鉄砂幾何学文水滴
- 地域/時代 朝鮮時代17世紀
- サイズ H2.7×W5.7×D5.7㎝
- 状態 上面角(注入口付近)に2㎝ほどの銀直し1箇所、注ぎ口に欠け
- 付属品 桐箱
- 品番 ko422
李朝17世紀頃につくられた鉄砂の水滴です。
硯に水を注ぐための文房具である水滴は、文人の書斎を彩る小さな器として知られています。こうした文房具が盛んにつくられるようになるのは19世紀頃とされ、それ以前のものは生産量が少なく、現存する作例もごくわずかです。

本作は、七角に面取りされた端正な器形が印象的です。灰色がかった素地に文様を彫り込み、その凹みに鉄砂を施して焼き上げています。上面には雪の結晶を思わせる幾何学文が広がり、素朴な意匠でありながら、角度を変えると陰影が生まれ、趣のある表情を見せます。側面には「上」の文字、注ぎ口の面には「大」の文字が陰刻されています。

水を入れる穴の周囲には銀直しが施され、注ぎ口にも欠けが見られます。
これは李朝の水滴には珍しいことではありません。当時の水滴は水の通り道が小さく、実際に使う際には注ぎ口をわざと割って広げることがあったため、こうした傷や補修を伴うものが少なくありません。本作の銀直しも興味深く、補修部分にまで陰刻を加え、もとの文様につながるよう仕上げています。実用の痕跡を受け止めながら、そこに新たな意匠を添えた、心惹かれる細工です。

李朝後期の精巧な細工や、鮮やかな白磁色を見せる水滴にも格別の魅力がありますが、本作にはそれらとは異なる、初期のものならではの素朴さがあります。七つの面を手のひらでそっと愛でたくなるような、小さな器ならではの親しみやすさ。その飾らない趣こそ、この時代の水滴の大きな魅力といえるでしょう。

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