十一面観音掛仏
- 地域/時代 日本 / 室町時代
- サイズ H9.8×W9.8×D1.2㎝
- 状態 光背に一部欠損
- 付属品 桐箱
- 品番 44nk-8
金銅製の小さな掛仏(かけぼとけ)です。掛仏とは、金属板に仏の姿をあらわし、壁や柱に掛けて礼拝するために作られた仏具のこと。寺院だけでなく、厨子や屋内の小さな礼拝空間などでも用いられてきました。

掛仏は時代が古いものほど像が立体的に造られ、時代が下るにつれて板面に近い半肉彫りのような表現へと移っていく傾向があります。本作も板面から像が穏やかに浮かび上がる半肉彫りに近い造形で、室町時代頃の作と考えられる一例です。

中央に表されるのは十一面観音。頭上には十一の小さな面が簡略化されて造形されています。ややツンとした目鼻立ちが印象的で、どこか愛らしさを感じさせる表情です。目や口の表情に加え、衣紋線や蓮台はごく細い線刻で丁寧に描き出されており、磨耗も少なく、その繊細な仕事ぶりをよく留めています。鍍金もわずかに残り、保存状態はきわめて良好です。

背後の光背は火炎形で、透かし彫りによる繊細な造り。部分的に欠損は見られますが、この種の軽やかな細工としてはよく残っている部類でしょう。観音の両脇には、蓮華が線刻で表され、画面に静かな荘厳さを添えています。

室町時代にはこの種の掛仏はある程度量産されていましたが、本作はとりわけ表情の可愛らしさが印象的で、加えて光背の作りや線刻表現の丁寧さにも見るべきものがあります。小品ながら、つい手元に残しておきたくなる魅力を備えた一作です。
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