李朝染付桃形水滴
¥650,000
- 地域/時代 朝鮮時代19世紀
- サイズ H8.0×W8.0×D7.8㎝
- 状態 注ぎ口に共直し、先端から中程にかけて長いニュウ1本
- 付属品 桐箱
- 品番 44nk-064
李朝後期に大変人気を博した、桃の実をかたどった水滴です。桃は古くから長寿や不老を象徴する吉祥の果実として親しまれ、その愛らしい姿は器物の意匠にも好んで取り入れられました。桃形水滴にはさまざまなバリエーションがありますが、本作はその中でも染付のみで仕上げられたもの。辰砂などを加えた華やかな作例に比べると簡素ではありますが、その分、白磁と青の清廉な美しさが際立っています。

本作では、たっぷりと丸みを帯びた桃の実に枝を絡ませ、その枝を高台へとつなげて円形にめぐらせることで、枝そのものに高台の役割を持たせています。桃の姿を単に器形に写すだけでなく、実を支える枝まで一続きの造形としてまとめた、愛らしくも巧みなつくりです。

枝に添えられた細長い葉には陰刻によって葉脈が表され、そこに染付の顔料が溜まることで、細やかな濃淡が生まれています。実の先端も染付の濃淡を生かして表現され、青のわずかな強弱が桃の丸みを引き立てています。よく発色した白磁は艶やかで、ふっくらとした桃の姿と相まって、どこか瑞々しささえ感じさせます。

一方、注ぎ口には共直しが施されています。また、桃の先端から中央やや下にかけて一本のニュウが見られます。いずれも長い時を経てきたことを物語るものですが、器形そのものの愛らしさや、白磁と染付の清々しい調和を損なうものではありません。

華やかな色彩を競う桃形水滴とはまた違い、染付一色だからこそ感じられる清らかさと静かな美しさ。手のひらにのせたときの、ふっくらとした桃の姿も何とも愛らしく、李朝後期の文房具らしい遊び心を身近に楽しめる一品です。
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