埴輪 帽子を被った男像
- 地域/時代 日本、関東地方 / 古墳時代後期
- サイズ [本体]H15.2×W13.2×D9.7 [台座込]H25.5×W15.3×D15.3㎝
- 状態 良好(修復はありません)
- 付属品 台座、桐箱
- 品番 43nk-59
かわいらしい埴輪をご紹介します。
小ぶりなお顔に、小さめの口。きりっと細長い目元が初々しさを感じさせ、少年のような面立ちです。側頭部には当時の男性の髪型である上げ美豆良を結っています。キャップのような帽子に捻り鉢巻を巻いた姿が印象的です。
この装束からして、農夫や馬曳きといった立場にあった人物のよう。土を小さく丸めた玉が首に所々残り、首飾りをして着飾っていたことがわかります。
僅かに赤みを帯びた土は関東の埴輪らしい色。成形時の櫛目も認められます。
ご存知の通り埴輪は、古墳時代を代表する文物。
3世紀頃に前方後円墳が出現した頃をその原初としますが、当初は供物を入れた壺とそれを置く器台という限られた形状のものだけでした。
時代を経るにつれ、形象埴輪と呼ばれる家や動物などの埴輪が作られるようになり、5世紀後半から6世紀にかけては多種多様な人物埴輪が作られるようになります。7世紀に入り、前方後円墳の消滅と共に埴輪は姿を消してゆきました。
人物埴輪の種類は幅広く、それぞれ独特の装束や持ち物を携えた巫女、武士、力士、農夫、楽人などの埴輪が、群像を成して権力者の眠る古墳の上や周辺、あるいは古墳の近くの堤に立てられたことがわかっています。
たった200年余の間に古代人の並々ならぬエネルギーによって造られた数多くの人物埴輪。遠く時代を隔てた現代でも、その人間味溢れる姿や造形的なユニークさに多くの人が惹きつけられています。
なんといってもその表情。
この男性像もまた、笑っているとも怒っているとも言えない、素朴で自然なお顔立ちです。素のままの表情といいますか…。
埴輪には遠い古代の社会を伝えてくれる歴史的な面白さもありますが、こんな素朴な表情を見ていると、いつの時代も人間って変わらないなぁと身近にも感じられ、不思議な感覚に陥ります。
市場でも人気の高い埴輪の人物像ですが、今回は上手く仕入れることができたので、価格も抑えています。
只々ぼーっと眺めてしまう、不思議な魅力の埴輪。静かに古人と対話する余白のような時間もまた、贅沢なものですね。
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