古九谷瑠璃撫子文香炉
¥330,000
- 地域/時代 日本・有田 / 江戸時代17世紀
- サイズ H7.8×W7.1×D7.1㎝
- 状態 良好
- 付属品 仕覆、桐箱
- 品番 43nk-100
吸い込まれるように深く、静かに澄んだ瑠璃の発色。
手に取ると、その艶やかな光はまるで宝石のような美しさを湛え、陶磁器でありながらどこか装身具のようです。

江戸時代17世紀に九州・有田で焼かれた九谷焼の中でも、全体に瑠璃釉をかけた作を俗に瑠璃九谷、九谷手瑠璃などと呼びます。
落ち着いた濃瑠璃は、光の加減によってほのかに表情を変え、見るたびに新しい奥行きを見せてくれます。

胴には金彩で撫子文が可憐に描かれています。
細くしなやかな茎、風に揺れるような花姿。余白を生かした構成のなかに、日本的な風雅が静かに息づいています。
華やかでありながら決して過度にならず、凛とした佇まいを保つところに、古九谷らしい品格の高さが感じられるでしょう。

蓋のつまみは梅の花。よくご覧いただくと、枝は燻銀で黒く表現され、その上に咲く白梅の花弁が立体的に作られています。さらに白梅の中には、細やかな雌蕊が金彩で丁寧に描き込まれており、小さな意匠のなかに凝縮された繊細な手仕事に思わず目が留まります。
このような香炉は、当時においてはきわめて贅沢な品であったことでしょう。豊かな色料と金銀を惜しみなく用いた作は、限られた上層の人々の手にのみ許されたものだったと想像されます。奥向きのしつらえの中で、身分の高い貴婦人が香を焚き、静かに季節の移ろいを味わっていた——そんな情景が思い浮かびます。

瑠璃、金、銀、白という限られた色調で構成された世界は、静謐でありながら豊か。宝石のような輝きと、日本的な風雅をあわせ持つ、古九谷の魅力を存分に感じていただける一作です。
[担当|大塚麻央]
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