高麗青磁象嵌双鶴文香合
¥75,000
- 地域/時代 朝鮮半島 / 高麗時代13世紀
- サイズ H3.1×Φ4.8㎝
- 状態 良好(本文をご覧ください)
- 付属品 桐箱
- 品番 40nk-37
美しい象嵌が施された高麗青磁の香合をご紹介します。
中央には羽を大きく広げた二羽の鶴が舞い、その周囲を輪線と連珠文を巡らせています。
これらの文様は、高麗青磁の代表的な技法とも言える「象嵌」によって表現されたもの。
ここで象嵌技法について少しご説明します。
象嵌技法は、中国唐代にもその技法の先駆が見られますが、流行はしませんでした。
韓国では、古代より金属器の装飾として象嵌が用いられており、その後青磁や漆工品にも取り入れられました。
青磁に施された象嵌は10世紀頃から見られますが、その後12-13世紀には全盛期を迎え、高麗青磁の装飾技法のなかでも主力となります。
5cmにも満たない小さな器体の上に、細やかに、丁寧に、象嵌が施されています。
胎土に溝を掘り、鶴の体と周囲の文様は白土、鶴の口ばしと目、そして手足は黒土を嵌め込んで模様を描いているのです。
小品ながら優雅で豊かな詩情を湛えている本作は、高麗文化の趣味性をよく表していると言えるでしょう。
この小ささがなんとも愛らしく、すっぽりと手中に収まります。
このような小形の合子(蓋と身が合わさった容器のことを指します)は、元々は白粉などの化粧道具や軟膏などを入れるために作られ、女性たちが使用していました。
高麗の女性たちは清潔さを重んじ、おしろいは使っていましたが、紅はつけていなかったという説もあります。
一方で、スカートには絹の香嚢をつけるなどして、おしゃれを楽しんでいたようです。
青磁製の化粧道具には、合子型のほかに、油壺や化粧箱も残っており、当時の女性たちの優雅な生活がうかがえます。
コンディションも良好です。
蓋の縁にごくわずかなスレがありますが、この時代のものでは気にする必要はありません。
また、写真では、縦線が入っているように見えると思いますが、こちらは貫入ですので、良好なコンディションとみなしています。
高麗文化が垣間見える雅趣あふれる香合——ぜひ掌中でお楽しみください。
[参考文献]
伊藤郁太郎編集「優艶の色・質朴のかたち」大阪市立東洋陶磁美術館、1999年
(担当:深谷愛)
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