高麗青磁象嵌花文香合
¥750,000
小品ながら気品溢れる香合です。
このような松葉形の香合は、化粧道具として用いられたもの。
化粧道具は小さくても丁寧な作行きのものが多く、本作もまたこれを用いたであろう高麗の貴婦人の姿が思い浮かぶような艶のある佇まいです。
本作のような松葉形の香合は、方形の化粧箱の中に丸形香合の周りを囲うようにして収められました。
収められた姿は花のような形状となり、それもまた風雅です。
ですが高麗青磁の化粧箱が完全な形で伝わっている例は殆どなく、箱や香合が散逸したかたちで今に伝わっています。
そのなかでも松葉形香合は現存数が少なく、その希少性の高さからコレクターにも好まれています。
上面には、象嵌で愛らしい花と葉が表現されています。
中央にふわりと開いた大輪の花から、左右に小輪の花が茂ってゆく文様構成も巧みです。
茎と花弁とを白黒象嵌で色を分けて表現した細やかな細工。良い時代の高麗青磁であることがわかります。
時代が下ると線刻等が多用されその文様も雑さが目立つようになります。
内側の縁に小さなソゲがあります。その他良好な状態です。
仕覆は真紅の印度更紗です。
細く繊細な白描線で描かれた花文様が香合の意匠ともリンクします。