李朝白磁下蕪形瓶
¥660,000
- 地域/時代 朝鮮半島 / 朝鮮時代19世紀
- サイズ H27.1×W17.1×D17.0㎝
- 状態 口に5㎜程度のホツ2カ所
- 付属品 桐箱
- 品番 39NK-15
朝鮮王朝の官窯である「分院」で19世紀に造られた白磁瓶。
下蕪形と呼ばれる器形で、同時代の中国陶器の影響を受けた朝鮮時代後期の最も代表的な器形のひとつです。
それ以前に造られた白磁瓶に対して、胴部が球体のように大きく膨らみ、長い頸を持つのが特徴。口縁部は外反させず、縁だけを外側に巻き返して処理し、直線的な表現を引き立てています。

同じ器形で染付や総瑠璃釉、また陰刻や陽刻など様々な技法によって装飾が施された作例が多数存在します。白一色のものは類例はあるものの全体からした割合は多くはなく、その中から更に白磁の色調や焼成の条件が良い、優品と呼べるものは一握りとなります。
市場に出てくるものでも、凡庸な装飾がされていたり、白一色であっても色調や釉調がいまひとつで仕入れを見送ることがほとんど。すべての条件が揃った優れた白磁瓶を見つけた時には、とても嬉しくなりますし、なるべく仕入れるように心がけています。

本作は後期白磁にありがちな極端な青味も感じさせず、反対に灰色にも寄っていない、理想的な白磁色。艶やかな光沢のある釉調は、良好な焼成であったことを示しています。
端正な口作りから緩やかに胴部へと繋がる曲線は、とても穏やかな印象です。

口に5㎜程度のホツが2箇所あります。
李朝では、一度使った器の口をわざと欠けさせる習慣がありました。ですので、傷があるのが当たり前で、多傷となっているものも多くあります。本作は最小限のダメージで、元々の形がきちんとわかる良好な状態です。

花器としても非常に扱いやすく、花映りが良いことも魅力のひとつ。
凛とした中にほのかな柔らかさを感じさせるところが、特に冬の花とはとても相性が良いように思います。
水仙や椿、梅などなど…。花一輪から小ぶりの枝物まで、季節の移ろいと共に幅広い花を活けて楽しんでいただけるでしょう。
見ているだけでも清らかな心持ちになる、気品あふれる白磁瓶です。

こちらは過去に扱った類品です。参考までに水仙を活けた写真を。
[担当|大塚麻央]
店舗で実物をお手に取っていただくことが可能です
来店予約