李朝鶏龍山鉄絵徳利
¥1,900,000
朝鮮半島中西部に聳える名山「鶏龍山」。
その山麓で焼かれた一群を俗に鶏龍山と呼びます。
中でも白化粧の上に鉄絵具による絵付を施した白地鉄絵は鶏龍山に特有のものです。
薄く引き上げられた器体、小さく締まった高台、自由闊達な絵付。
粉青沙器を焼いた窯は朝鮮半島中数あれど、鶏龍山のやきものの造形的な魅力は抜きん出でおり、古来数奇者を虜にしてきました。
本作は、灰色の素地に刷毛目で白化粧を施した後、胴部を分割するように線条を彫り込み、更にその中央部に鉄絵による絵付を巡らせた徳利。
ところが線条による分割などお構いなしのダイナミックな鉄絵が目を惹きます。
左右非対称の形、白化粧に残された刷毛目の勢い、彫り込みの深さ、そして絵付。
轆轤による成形から絵付まで、全てが即興的なスピード感の中で仕上げられたことが視覚的に表れているようです。
腰が大きく張ったどっしりとした形もおおどかな佇まいも魅力的です。
縁がややくの字状に内に入った、じょうご形の注ぎ口。
古いニュウが一本あるのみで、非常に良いコンディションです。
仕覆は唐木綿で仕立てています。
切りとる場所によって色味や柄行きが変わる唐木綿。
こちらの仕覆は、唐木綿らしい明るい水色のベースに白い線条文が数本通り、下には黄色の縞が帯状に通っています。
徳利の意匠と重なる裂のとりかたも秀逸な仕立て。