梟文盃 バーナード・リーチ作
バーナード・リーチによる、手取りの良い、温もりのある酒盃です。
おおらかで柔和な素地に、凛々しくも愛らしい一羽のふくろうが描かれています。
目は険しくも、ずんぐりとしたフォルムは可愛らしく、見るものを笑顔にする魅力をもっています。
リーチの作品には、鳥やうさぎ、蛙など、さまざまな生き物が登場します。
その描かれ方を見れば、リーチが動植物を深く愛し、温かな眼差しをもっていたことがよくわかるでしょう。
中でもふくろうはリーチが好んだモチーフのひとつ。
陶板や素描などさまざまな形に表されています。
日本民藝館が所蔵する「白掛彫絵色差梟文皿」もそのうちのひとつです。
この盃は、類品はありますが、 釉の調子や肌の完成度からとても出来の良いものであることがよくわかります。
画家として出発したリーチですが、1911年に日本の地で楽焼の絵付けを体験し、陶芸家としての道を歩み始め、それを一生の生業としました。
柳宗悦もリーチの画力を高く評価しており、こう語っています。
「リーチの(西洋第一の陶工たる)第二の顕著な資格は、絵が描けるという事である。もともと画家を志した経歴もあって、その道の修行もうしろに控えてはいるが、やはり持って生れた天性なのである。…現状ではリーチは美しい絵附の力量を持った殆ど唯一の西洋陶工だと云ってよい。」
盃の底にはリーチのスタンプ、箱にはサインと年代が記されています。
状態も良く、無傷です。
仕覆裂は藍染布で仕立てました。その手触りからインド産と思われます。
ぱっと目を引く藍色の仕覆からは、落ち着きがあるとともに、清廉な印象を受けます。
表は無地、裏地には花文の裂を合わせました。
リーチらしい、優しく温和な雰囲気に包まれている盃、ぜひお手元に置き、お楽しみください。