Exhibition|杉謙太郎〈花陰〉|アーティストより花会に寄せて

このたび大塚美術にて開催される花人・杉謙太郎による花会・展覧会〈花陰〉。

アーティストより花会に寄せてメッセージが届きました。
以下に全文を掲載いたします。

ぜひご覧ください。

 

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1|花陰 はなかげ

 

 

これまで各地で花会を開催してまいりましたが、今回の会にはこれまでにない特徴があります。

 

会場となるのは、大塚美術。


日本や朝鮮の古美術をはじめ、近代美術まで幅広く扱う、美術商ならではの空間です。

 

作品が静かに息づくその場所で、一日限りの花を生ける。


古いものと、今この瞬間にしか存在しない花。


異なる時間が交わることで、どのような景色が生まれるのでしょうか。

「花陰」と題した今回の花会。


皆さまと、その時間をご一緒できれば幸いです。

 

 

 

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2|古い花と生きる器

 

 

古美術の世界では、花器として見立てられた器に出会うことがあります。

 

五百年、六百年という長い年月を経た器に、季節の花が添えられる。

 

そこには古いものを飾るという以上に、時代を越えて命が重なるような感覚があります。

 

器は変わらずそこにあり、花だけが季節とともに移ろう。

 

その出会いは、一度きりです。

 

今回の花会でも、そうした「時」と向き合う場になればと思っています。

 

 

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3|「今」を生ける

 

 

今回の花会では、あらかじめ生けられた花をご覧いただくのではありません。

 

皆さまの目の前で、その場で花を生けます。

 

完成を用意するのではなく、その瞬間にしか生まれない花。不完全なる美と言いかえてもいいでしょうか。

 

思い描いた通りにならないこともあるかもしれません。

 

迷いも、間も、静けさも含めて、その日の花になります。

 

作り置きではない花には、その時間だけが持つ緊張と美しさがあります。

 

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4|ともに過ごす

 

 

時間

 

古典の花には、花を生ける人と、それを見守る人が、ともに時間をつくるという考え方がありました。

 

花は、一人だけで完成するものではありません。

 

その場に集まる人の気配や空気もまた、花の一部になります。

 

出来上がった姿だけでは伝わらないもの。

 

その場に立ち会った人だけが感じることのできる時間があります。

 

今回も、そのような時間を皆さまと共有できればと思います。

 

 

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5|所望の花

 

 

古典には「所望の花」という言葉があります。

 

誰かに花を生けてもらいたいと願うこと。

 

それは、美しい花を見せてほしいという願いだけではありません。

 

その人の心に触れてみたい。

 

その人が花と向き合う姿を見てみたい。

 

そうした願いが込められていたように思います。

 

花の美しさだけではなく、目には見えないものを感じる。

 

「花陰」という題には、そのような思いも重ねています。

 

 

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6|花陰へ

 

 

花には、目に映る姿があります。

 

そして、その奥には、言葉にならないものがあります。

 

誰と過ごした時間だったのか。

 

どのような思いで生けられたのか。

 

そうした目には見えないものが、花の中に静かに宿ります。

 

「花陰」

 

当日は花会のあと、皆さまと感じたことを少し言葉にしながら、その時間を分かち合えれば幸いです。

 

皆さまのお越しを心よりお待ちしております。

 

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花陰 ― 破甕と一輪の花 ―

 

 

京都・東山。

 

室町幕府八代将軍、足利義政は、応仁の乱によって荒れた時代を生きました。

 

政治の中心から距離を置き、東山山荘で静かな日々を過ごしたと伝えられています。

 

その書斎には、「破甕(はよう)」と呼ばれる、口の欠けた器が置かれていたといいます。

 

完全なものではない器を、なぜ身近に置いたのでしょう。

 

その理由は分かりません。

 

けれど、義政自身の心にもまた、戦によって満たされない思いや、癒えることのない傷があったのかもしれません。

 

その器に、一輪の撫子が挿されていたという記録があります。

 

華やかさを競うためではなく、静かに心へ寄り添う花として。

 

また義政は、招いた客に「まず良い花を差し出して、お好きなようにお生けください」と勧め、自らもその花に応えるように花を生けたと伝えられています。

 

そこには、誰かより優れた花を生けることではなく、相手を思い、その花に応えるという心がありました。

 

古典でいう「所望の花」とは、そのような、人と人との間に生まれる見えない営みでもあったのでしょう。

 

花は、姿だけを見れば美しい花です。

 

しかし、その場に流れた時間や、人の思いまでは見えません。

 

「花陰」と題した今回の花会もまた、花の奥にある、目には見えない世界へ思いを寄せる時間となれば幸いです。

 

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花陰 hanakage
杉謙太郎 花会|展覧会

 

[花会]

7月24日(金) 昼の部|13:30〜 夕の部|17:30〜
7月25日(土) 昼の部|13:30〜 夕の部|17:30〜
7月26日(日) 昼の部|13:30〜 夕の部|17:30〜 (募集締切)

※各回定員10人
※参加費12,000円+税
※2時間程度を予定しております

 

[展覧会]

7月30日(木)〜8月5日(水)
11:00〜18:00  
入場無料/日曜休廊/最終日17:00閉場 


[会場]

大塚美術
東京都港区南青山5-14-4河合ビル1階

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▼花会券・作品ウェブ販売は以下バナーからごご覧いただけます▼

花会券:7月7日正午〜販売開始
作品:8月1日正午〜販売開始予定

 

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