李朝刷毛目銘々皿二枚組
胎土と白泥の色、筆の勢いなど、バランスよく好感が持てる刷毛目皿2枚を仕入れることができました。
まず1枚は、鉄分を多く含んだ濃い灰色の土。はっきりと鶏龍山のものとわかる土味です。胎土の上に勢いある白泥の筆致が引き立って映ります。
刷毛目が皿の内側に収まることなく、スパッと途切れたような潔さ。一筆書きのような迷いなき筆捌きは、清々しく感じられます。裏側にも白泥が施され、釉薬はマットな上がり。
一本縁に3㎝ほどのニュウが見られますが、裏側からはあまり見えないほど目立たないものです。
そしてもう1枚は、淡い灰色の胎土。こちらも刷毛目に勢いがあります。
釉薬が厚めにかけられているからか、白泥と胎土との凹凸が少なく、端正な印象。光沢のある釉膚をしています。裏を返すと見える小さめの高台も魅力です。
双方とも見込みに気になる引っかかりや釉薬の剥げもなく、使用するのに気掛かりな点がないのも良い点です。
制作年代は朝鮮時代前期にあたる15世紀後半〜16世紀。
朝鮮時代前期は、三島と呼ばれる粉青沙器が中心に造られた時代。なかでも刷毛目は、印花と呼ばれるスタンプの技法を使った装飾から、筆で白化粧をするという新たな段階へと歩を進めた時代にあたる作です。
”器をいかに手早く白くするか”が粉青沙器のテーマだったわけですが、その過程で生み出された刷毛目技法の筆致の奔放さや勢いに面白みを見出したのは後世の人々の眼によるもの。
決して狙ったものではない伸び伸びとした趣は、写しものにはないオリジナルならではの魅力です。
菓子皿として、銘々皿として、何かと重宝する大きさの刷毛目皿。当店でもお客様にお菓子をお出しする際は、このような刷毛目の皿を重宝しています。
大きさや形のバランスが良い2枚をペアで販売いたします。