李朝白磁面取台鉢
直径14㎝弱の愛らしい大きさの台鉢。スカッとした面取りの足が特徴です。
青みにも黄味にも極端に傾いていない色調、チョークのようなマットな質感は、李朝白磁らしく好ましい調子。見込みには鉄班も所々に表れ、景色となっています。
元々は祭祀で供物を捧げるためのものだった李朝の台鉢。それも陶磁器製の祭器を用いることができたのはほんの一部の高貴な人々に限られました。小さいながらも力強い造形は日用の器ではない祭器だからこそ。盛ったものをしっかりとした存在感で支えてくれます。
現代生活では、料理や菓子の器として活かしてみるのも素敵です。祭器ならではの高い高台は、他の器と並べたときにはテーブルに高低のリズムを生み出し、単独で用いたときには特別な感覚を演出してくれるでしょう。縁が自然に立ち上がっており、汁気のあるものにも心配いりません。
李朝の台鉢で思い起こされるのは、2002年に刊行された別冊太陽『白磁』に掲載された、エッセイストの平松洋子さんと骨董商の佃達雄さんによる「白磁でもてなす」という特集記事。平松さんと佃さんが様々な白磁の器にそれぞれの手料理を持って、お互いをもてなすという企画では李朝の台鉢も多く登場します。
白磁の台鉢に美しく盛られたシンプルでありながら心のこもった料理の数々。記事の中では台鉢の食器としての使いやすさが語られていたのが印象的でした。
高貴でありながら親しみやすい李朝陶器ならではの器は、日常ともてなしの両場面で寄り添ってくれます。