古瀬戸灰釉徳利
₩4,615,000
徳利として使用できる大きさが何よりも嬉しい古瀬戸の瓶。
片手で酒を注いでもしっかりとした安定感があります。容量は約250ml、1合半弱入り、漏れもありません。
口縁は俗に「鳶口壺」と呼ばれる、片口状の注ぎ口を持つ形状。
古瀬戸ならではの厚めの口作りですが、酒が垂れにくい形状になっているなんて、なんと好都合なこと…!
古瀬戸が生産されたのは鎌倉時代から室町時代にわたる約300年間。幕府が置かれた鎌倉や東海地方の有力寺院から中国陶器に替わる国産のやきものが求められた時代でした。
良質な陶土に恵まれたためにその需要を担った瀬戸窯は、瓦、仏具、蔵骨器などを生産します。本作の制作年代である13世紀頃は、ほとんどのものが幕府のある鎌倉へと運ばれており、高級施釉陶器として用いられました。
器全体に流れる灰釉は、理想的な爽やかな淡緑色。
ガラス質となった釉薬の溜まりには細やに貫入が入り、奥深い緑色を呈しています。(透明感を写真で表すのは難しいのですが…)
所々に白濁色に変化した部分、そして古瀬戸ならではの窯割れも相まって野趣と気品を併せ持った景色です。肩部に陰刻された三筋文も見どころとなっています。
古瀬戸前期の出土品の中に僅かに認められる鳶口の瓶や壺ですが、その中でも徳利形は意外にも少ないもの。似た用途で古瀬戸前期から生産されたものに水注がありますが、中国陶器を写した取手や注口が付けられたものが殆どです。
本作は、ぷっくりと膨らんだ胴部から畳付きにかけての緩急ある曲線が、古瀬戸の瓶子を小さくしたかのようなフォルムです。
花映えするやきものとして花器好きにも人気の高い古瀬戸。酒器のみならず花器としても扱いやすく、幅広く楽しむことができます。
こんな徳利にはお好みの仕覆を誂えるのもいいですね。
先述の通り、窯割れや底部からの漏れはありませんので、水は直接入れて使ってください。