加守田章二 灰釉碗
¥363,636
- 地域/時代 日本 / 1966年頃
- サイズ H6.7×W10.7×D10.7㎝
- 状態 無傷
- 付属品 共箱
- 品番 42nk-034
加守田章二の初期・益子時代の凛とした緊張感漂う灰釉碗です。
大きさもちょうど良く、加守田が好んだわずかに口がすぼまった飲みやすい器形。
お茶がよく映えそうですね。
曲線彫文や色彩ある波文様など多彩な作品展開で知られる加守田ですが、全体を通して見ても、碗形の作品は多くはありません。

1959年に独立し、益子で作陶を開始した加守田。はじめは灰釉、飴釉、緑釉などさまざまな釉薬を使って実用的な日用雑器を中心に作っていました。
1960年に大阪の岸和田の実家を訪れた際、近くの光明池で散在する須恵器の窯跡から陶片を見つけ、強い興味を抱いたそうです。
その約2年後、本格的に灰釉の作品作りを開始。
加守田はインタビューでこの頃の作品についてこう語っています。
「僕のは線だナ。キンキンなっちゃうの、かなり意識するナそれは。」
加守田は焼きものがもつ、張り詰めた鋭い線に惹かれていました。
この碗を見ても、加守田が須恵器や猿投の灰釉壺に影響を受け、それらがもつ魅力に惹かれていたことがよくわかるでしょう。
また、あえてくっきりと際立たせた轆轤目からは、轆轤の名手として名高い加守田ならではの強い造形意識がうかがえます。

対して施された灰釉は、透明感のある穏やかな深い青緑色に発色しています。
正面は斜めに、見込みにはたっぷりと半月形に、そしてところどころに釉をランダムに点在させるデザイン。
キリっとした鋭さをもつ器形と、この自然な瑞々しい釉、一見相対する要素が一つの碗のなかで共存しているのがこの時代の加守田の魅力のひとつではないでしょうか。

一連の灰釉作品によって、陶芸家・加守田章二の名は世に知られることになり、その後1967年からは白磁や、土器風の作品へと展開されていきました。

作品の底には印、共箱も付属しています。
[参考文献]
東京国立近代美術館他編「現代陶芸の美 加守田章二展」1987年、日本経済新聞社刊
[担当|深谷愛]
✳︎この作品の掲載期間は12月20日12:00までとなります。
店舗で実物をお手に取っていただくことが可能です
来店予約