阿蘭陀白磁面取徳利
青みがかった乳白色の肌が美しい白デルフトの徳利。
とろりとした鉛白釉が厚くかかっており、手に取ると、柔らかな印象を受けます。
柔らかな面取り、端正なプロポーション、ゆるやかな菱形の口造り、どこを取っても言うことがない一品。
李朝や伊万里の白磁とはまた違う、何ともいえない柔らかい魅力をもっています。
元々は花器として作られたものでしょうが、徳利にぴったりのサイズなのも見どころの一つ。
容量は、約250mlで1合半程度。
日本や朝鮮など、東洋生まれの酒器ともよく馴染むでしょう。
デルフトは、色絵や染付のものは多く残っていますが、白一色、更にはこの面取りの形のものは珍しく、大変貴重です。
美術業者の交換会でも滅多に見かけませんし、ヨーロッパ本国でも見つけるのは難しいといいます。
江戸時代、大名や茶人らは阿蘭陀焼を好み、こぞって注文したという記録が残っています。中でも夢中になったのが「白阿蘭陀」、つまりこの白いデルフトでした。
口縁部に2ヶ所の金直し(2㎝ / 1㎝)があります。
仕覆は、清中期の唐木綿で仕立てています。
唐木綿とは、14世紀末頃から中国南方より舶載されてきた裂の中で、厚手の織木綿のこと。
手紡ぎによる糸は味わい深く、寒色でまとめられた意匠は洒落ており、白いデルフトの肌色ともリンクします。