李朝竹張櫛箱
₩2,315,000
李朝の文人がこよなく愛した竹。
空へ向かって真っ直ぐに伸び、青々とした姿が清涼感を呼ぶ竹は、「高潔」と「清雅」という李朝文人が理想とした気質を示します。
朝鮮では様々な加工法によって調度品や日用品が竹で作られました。「竹張」と呼ばれる短尺状に割った竹材を木製の土台の表面に貼って装飾する方法も、李朝後期の洗練された木工技法のひとつです。
本作は上面と側面全体に竹の板を貼り付けて装飾された引き出し。こうした小型の引き出しは櫛を入れる箱として伝わっているものが多く、本作もおそらくは櫛箱であったかと考えられます。
竹の長短を生かして幾何学的な文様を構成するように繋げ、上面から側面に至るまで竹を貼り付けています。隙間なく貼り付けられた装飾はとても精緻。竹の表面の丸みを生かしているため、光の屈折効果によって幾何学文様の見え方が変わるところに面白さがあります。
加飾を禁じた李朝時代ですが、簡素な佇まいの中にも美しさを求める精神が竹張のような技法を生んだのでしょう。
引き出しの開き方がユニークで、三段の引き出しが異なる向きに開くようになっています。上段と下段は同じ向き、中段は反対側に開く仕組みです。中に入れるものによって段を使い分けていたのかもしれませんね。
引き手には真鍮製の勾玉形の金具が取り付けられていて、可愛らしいです。
竹の剥がれなどもなくコンディションは良好です。
書斎の小物収納に。
小さな花器や像を置く展示台に。
現代住宅にも取り入れやすい小さな李朝家具。床に直に置いても、大きな家具の上に置いてもすんなりと馴染みます。